母の深夜徘徊

夜中の1時15分、離れの周りで母の声がして、目が覚めた。

 「おじいさん」と呼ぶ声。

 「おじいさん、どこにいった?」

 

仰天して、外に飛び出た。

窓は開き、母屋の明かりがあちこち灯り、母が父を探している。

 「おじいさんは・・・」

と言いかけて、どこまで話をするか迷った。

 「・・・施設に入っていて、もう家にはいない」

   「いつから?」と母。

 「1年3か月前からいない」

   「そんなこと、誰も教えてくれないじゃない」

・・・呆れた。

 

 「いいから寝てくれ、夜中の1時だ。おじいさんはいないから」

   「いつから?」

 「1年以上前から」

   「どうして?」

 「・・・いいから、寝てくれ」

 

明日は、22日の木曜日。延期になった東京オリンピックの関係で休日となった。

仕事が休みでよかった。